
回転寿司チェーン店「スシロー」の迷惑動画をはじめ、若年層での悪ふざけが横暴した様子がSNSなどに次々とアップされるようになりました。
その結果、逮捕者も出たり、損害賠償の金額も跳ね上がり、話題となってしまっています。。
当然ですが、その迷惑動画に対し、企業も対応策を打ち出し、対処している次第です。
このような状況に至ってしまってる経緯として、今の若い世代の「承認欲求」を満たす行為と言われていますが、調べてみたところ、そこにはもっと深い理由がありました。
また、これを読んでいる人は同世代、またはその親世代が、実際に自分が、もしくは自分の子どもがもし同じような迷惑動画SNSにアップしてしまったらどうしよう、、と思ってる人も多くいるかもしれません。
そんな人のためにも、まずはどうしてそうなってしまったのかという理由の追求と、親が子に出来る防止策を書いてみました。
目次
回転寿司【迷惑動画】炎上理由とは
出典元:週刊女性PRIME
昨今、回転寿司だけでなく他の飲食店でも迷惑動画の炎上は見られるようになりました。
このような行為が始まったのは実は、すでに10年以上前になります。
当時は、Twitterが流行り、アイスケースに入ったり、バイト中に食事を粗末に扱ったりとイタズラを繰り返す動画をアップし、その反応を楽しんでいる様子が止まりませんでした。
これを書いている筆者も、当時は20代前半くらいでしたが、さすがにこの迷惑行為は「今の若い奴らは…」と言われても仕方がないと思っていました。
出典元:ねとらぼ
「今の若い奴らは…」という言葉は、実はどの世代でも言われる言葉であり、おそらくこれを読んでいる50代の人であろう、20代の人であろう、社会に出た時には一度は耳にする言葉だと思います。
さて、そんな若い人が迷惑動画をアップしてしまう理由として、誰しも
「承認欲求を満たすため」
と考える人も多いと思います。
もちろん迷惑動画の行為を繰り返す人はそのような理由がほとんどだと思います。
しかし、さらに突っ込んでいくと「承認欲求を満たさないといけない理由」もあるわけです。
今の若い世代と一括りにいっては失礼ですが、この承認欲求を満たさないといられない状態になったことはどんな深い理由があるのでしょう。
まずは、親が子に出来る防止策の前に理由を探っていきたいと思います。
理由①SNSの増加
出典元:東洋経済オンライン
まず迷惑動画が増えた理由として、SNSの増加が考えられます。
これは誰しもそう思うでしょう。
SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービスの略で日本語で訳すと「社会的なネットワークを築くためのサービス」です。
つまり、
いつどこで誰でも、世の中の人と繋がれるようになった
ということになります。
これはたしかに画期的なシステムですが、このSNSが承認欲求を満たすために大きく影響することは理解出来ると思います。
出典元:ECCフォリラン
1990年代後半から、SNSの走りでもあるミクシィ(mixi)が始まり、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokと、その使い方も様々なものに変化していきました。
SNSが増加したことにより、繋がりが多く見いだせたことは大きなメリットですが、その繋がりが大きくなった分、「承認欲求しないと我慢出来ない場」も増えたことも1つの理由になるでしょう。
つまり、言い換えると、目の前の身近な人よりも、スマホを通したSNS上の方が、
「多く見てもらえる」「多く自分を知ってもらえる」「有名になれる」
という感情が優先されてきた背景があると思います。
そういったことから、SNSの増加にはメリットもたくさんありますが、承認欲求の増加は、コミュニケーションの希薄化が生んだものと言えるかもしれません。

これを書いている筆者も一応TikTok以外は利用しています。世代によって使ってるものがわかれると思いますが、最近では、若者のダンス動画としてTikTokが使われてる傾向が強いと思われます。
ただ、個人的にも承認欲求を満たすというより、情報収集のためとして利用しているので、年齢によってもその使い方が変わってくると思われます。
特に若い世代は、手っ取り早く情報を知りたい、じっくり読むより、今は動画で字を読む時代にもなりました。
そいった背景からもいわゆる「バズる」=流行といった認識になり、良い意味でもいかに炎上させるか、といったところに意識が向いている人が多いのかと思います。
理由②収入源
前述したSNSの増加の理由と並行して、SNSまたはネットを使って簡単にお金を稼げる時代になりました。
わかりやすいものとしてヒカキンやはじめしゃちょーなどのYouTuberが有名だと思います。
出典元:YouTube
YouTuberが流行り始めたときは、何をしているのかさっぱりわかりませんでしたが、あれは動画を見る度に広告をクリックしてもらい「広告収入」が入るというもの。
つまり、これは、アルバイト感覚でやることもでき、若い世代にとってはとても入り口の浅いものとなっています。
ですが、この広告収入を得るためには、いかに自分を知ってもらうかが大事です。
そのため、少し炎上するくらいの動画をアップすることで、注目度が一気にあがり、収入に繋がっているという背景があります。
出典元:弁護士法人あまた弁護士事務所
SNSは良くも悪くも、使い方によってはアンチのコメントなどは気にしなくても良いものです。
つまり、当事者からすれば、目的が「収入源」なので「炎上バンザイ」となるわけです。
そのため、承認欲求だけでなく「収入による満たされた感覚を味わうため」として迷惑動画を上げる傾向も考えられます。
理由③教育の変化
よく例に挙げられるのが、「ゆとり世代」「さとり世代」「ゼット世代」などと言われる世代で区切られてしまう言い方があります。
同情するわけではないですが、その世代の人たちもそう呼ばれたくて生まれてきているわけではなく、たまたま生まれたときにそういった呼ばれ方をしたという少し可哀想な背景もあると思います。
出典元:Togetter
そんな世代の人たちは教育の簡素化のこともあり、教科書の内容が薄くなったり、週休二日制になったり(1990年代は週一日が休みの学校がほとんど)、教育ということに関しての変化が大きかった世代なのかもしれません。
特に、2000年代に入った頃から、部活での体罰がうるさく言われるようになり、教育者側と生徒側の立場が逆転したとも言われています。
もちろん体罰はいけないことであると思いますが、手をあげるとすぐ動画に撮られ教育委員会に訴えるといった事例もあったり、教師が手をあげなくなり、第三者からの教育ということが希薄になった背景があると思います。
出典元:マイナビ学生の窓口
つまりこれは、社会に出てからの上下関係がハッキリしなくなり、
「尊敬」といった「相手を価値ある人と見れなくなった」
ことも考えられます。
ちなみに承認欲求とは
「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」
という願望であり、
「尊敬・自尊の欲求」
とも呼ばれています。
そんなことからも他人を認められないとなった場合、自分でも無意識に
「自分で自分のことを認められない」=「他人に認められないと満たされない」
という状況が自然と作られていってしまったのかもしれません。

ちなみに筆者も小学6年生のときに、椅子を片付けなかったということで担任の先生に思いっきり頭を殴られ一週間ほどジンジンしていた記憶が今でもありますが、とても良い経験だったと思っています。今になれば体罰はいけないことですし、当時も殴らなくてもいいんじゃないかという感情もありましたが、それ以上に「自分は悪いことをしたんだ」と反省の念が強かったのは覚えています。
つまり、「悪いことは悪い」、『人としての間違った行為を注意できる人が少なくなった』という教育や時代の変化も「承認欲求」を満たすことと関係してきたと思われます。
ここまで迷惑動画が炎上してしまう背景が「承認欲求」のさらに奥に潜在している育った環境や承認欲求を満たす方法の変化が、ここまでの自体を大きくしていると考えられます。
出典元:カラパイア
よく、今回の迷惑動画の件のニュースを見ていると「親がしっかりしなければいけない」「教育する側は何をしているんだ」といった声も多く聞かれますが、日本の教育環境自体が変化したことと生活スタイルが大きく変化したことで、一概に親や教師だけの教育の責任とは言い切れないと思います。
昔は、
- イタズラなどをしたら近所のおじさんが見ていて怒られた
- 飴をくれたらありがとうと言っていた
- 登下校は道歩く人に挨拶していた
など、子どもは親や教師が育てるだけでなく、地域みんなで育てるという背景があったと思います。
そういった変化からも、今の時代の流れが早すぎるあまりに、親だけでなく世間全体が変化に対応出来ず、子どもの心の変化にも順応に対応できなくなってしまってる状態になっているのかもしれません。
回転寿司【迷惑動画】親が子に出来る防止策
出典元:NST新潟総合テレビ
回転寿司などでの炎上している迷惑動画が蔓延してしまう背景を承認欲求の深いところを見てきましたが、これを読んでる親世代も、
もし自分の子どもがやったらどうしよう
こうなる前に対処や対応など、防止出来ることはないか
親としてどういう心構えでいればいいのか
など、気になった人もいると思います。
「うちの子は大丈夫!」と言い切れればよいのですが、今の時代、いつどこで犯罪が起きるかもわかりません。
真面目なあの子が…とならないように、出来る限りの対応策を書いてみました。
迷惑動画防止策①迷惑と犯罪の違い
迷惑動画の防止策として、親が出来ることとしては、普段からの何気ない会話やコミュニケーションかと思います。
ここで大事なことは、悪いことが起こったときに対応するやり方ではなく、
普段からそういったことを意識して接し方を注意しておくことです(怒ったり、叱ったりすることではありません)。
出典元:ベネッセ教育情報
迷惑とは「ある人のした事が元で、他の人が困ったり嫌な思いをすること。 迷い惑うこと」とあります。
一方、犯罪は「罪を犯す行為。犯した罪」です。
今回話題になっている迷惑動画は、「迷惑」という括りではなく「犯罪」という括りになります。
逮捕者も出ていて裁かれています。
よくSNSの上でもこの迷惑動画に関しては「犯罪の域に達している」と書いている人もいます。
親が出来ることとしては、
「迷惑」と「犯罪」の違いをしっかり教え込むこと
ではないでしょうか。
「自分が嫌なことは人にもしてはいけない」といった意見もある一方で、
インドでは、
「あなたは迷惑をかけて生きていくのだから迷惑をかけられたら許してあげなさい」
といった考え方もあります。
出典元:グローバルボイス
どちらが良いというわけではありませんが、この「迷惑」と「犯罪」の違いは、
その行為が「許せるか」「許せないか」ということと言えるのでないでしょうか。
その「許す」という意味を幼少期の頃、もしくは今回の迷惑動画のような犯罪が起きやすい思春期から20代前後のうちに理解する場が必要かと思います。
人は悪気がなくても、人に迷惑をかけてしまう場面はあります。
そういったタイミングや、人と喧嘩したとき、相手に嫌がらせをしようと思ってしまったときなど、育っていく環境で教えるタイミングは何回か訪れると思います。
そのときに、「迷惑」と「犯罪」の違いの話が出来ると良いのかもしれません。
実際に迷惑動画に関して親の考え方としてこのような意見もありました。
「大ごとになるとは思わずにやってしまうこと」と「『それって大変なことだよ』と気づかせること」は違うよ。
「止められない」というのが、「大ごとになるとは思わずにやってしまうことがある」という意味なら、そうかもしれない。
実際、刑法は「13歳以下には一律に刑事責任能力がない」としているので、中学校1年生くらいまでは、「やっちゃいけないことの判断ができないときがある」ってことだろう。しかし、中学生くらいなら「反省させるのが難しい」ということはない。
実際、小学生高学年であっても、更生のために児童自立支援施設に送致される事例はある。(反省できない年齢なら、施設に送っても仕方がない)
人間の行動規範の原点は幼少期の教育で作られると思います。
つまり、叱られたり注意される事に対してある種の恐怖心を抱く幼少期の経験は記憶の奥底に記録され、その後の社会生活に反映されていくものだと思います。
まだ自分の生きる世界がほぼ家庭だけの幼少期でないと覚えられない規範、そしてそれを正しく記憶させる事が出来るのは保護者だけだと思います。
ある意味、”教育の義務” の根源とも考えられます。
迷惑動画防止策②自分を満たすこと
回転寿司の迷惑動画を上げたりすることは、やはり承認欲求が影響しています。
出典元:CanCan
では、なぜ承認欲求が得られないのかの背景は先程書いてきましたが、親が出来ることとして、
自己肯定感を上げる
ということがあります。
自分の存在そのものを認める感覚のこと
他人と比べることなく、ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定すること
つまり、この感覚が希薄なため、自分以外のもので承認欲求を満たそうとするのです。
では、親としてどうすれば良いか。
簡潔に書くと
「あなたは存在しているだけでお母さん(お父さん)は嬉しいよ」
ということを伝えることです。
筆者も実際に小さい子どもがいますが、よく「〇〇ちゃん、大好きだよ」とか「ママ(パパ)の大好きな〇〇ちゃん」と呼んでみたり、「〇〇ちゃんが、一緒にいてくれるだけで幸せな気持ちになるなぁ」なんて声をかけています。
伝えたときに伝えるというより、日常でこの会話をさりげなく入れていくと子どもは意外と記憶の中に刷り込まれていくようです。
幼少期の頃の対策としてはこのような声掛けが有効と思われますが、小学校の高学年あたりからは物心もついて反抗期になりかけるので、また違った対応が必要かと思います。
出典元:インターエデュ
小学校から中学・高校になってくると社会への関わり方が一気に増えてきます。
学校でも友達との関わりが増え、親離れが始まってくる時期です。
ここで大事なのは「反抗されてもそれを認めてあげること」かと思っています。
つまり、中学・高校のときは勝手に自立していくという考え方を頭の片隅に入れておいて欲しいと思います。
ここでひとつの事例を紹介しますね。
中学3年生の女の子が受験が迫ってるときに、友達と一緒にディズニーランドに行きたいと言ってきました。
親御さんは受験間近で心配になっているにも関わらず「勉強しなさい」と怒ったと言います。
当然、その女の子はふてくされて友達とディズニーランドに行くはずだったため、そのことが頭から離れず勉強にも集中出来ません。
結果、勉強もせず、親との仲も悪くなり、親の言うことも聞かなくなってしまった。
という、あるあるの話かもしれませんが、このときの良いアドバイスを紹介しておきます。
ディズニーランドに行きたいと言ってきた女の子の心理として
「勉強しないといけないのはわかっている」
ということです。
つまり、「勉強しなさい」と言われるは当然わかっているんです。
ここで親から笑顔で「いいよ!楽しんできたら」なんて言われたら、その女の子はどう思うでしょうか。
内心『え?行っていいの?』って思ってるかもしれません。
さらにこの続きがもっと大切で、ディズニーランドで遊んで帰ってきたら、すぐに
「あれ?もう帰ってきたの?まだ遊んできたら?」
と笑顔で言ってあげることです。
そうすると女の子の心理として「絶対帰ってから勉強しなさい」と言われると思っているはずです。
しかし、親からもっと遊んだら?と言われたら拍子抜けするでしょう。
そうなったら、その女の子の心理は
「ママ(パパ)は私のことわかってくれてる」
となり、承認欲求だけでなく、自分は存在しているだけで価値があると認識し、自己肯定感がグンッとあがるんですね。
出典元:with online
そうしてあげることで思春期から高校生くらいにかけての反抗期の対応としての参考にしてもらえたらと思います。
もちろん、この対応は、幼少期の頃からも有効です。
幼少期の場合は、例として
「おもちゃを買ってほしい」
という欲求が強いと思います。
出典元:オールアバウト
これは「おもちゃを買って欲しい」というより
「おもちゃで(親とかと)遊びたい欲求」を満たしたい
ということなんです。
つまり、
「このおもちゃ買ったらどんなふうにして遊ぶの?」
とか
「このおもちゃがあったらどんな気持ちになるのか教えてほしいな」
などを聞いてあげると、承認欲求が満たされることが多いです。
こういった過程を踏んで、承認欲求だけでなく、
何があってもなくても存在しているだけで認められている
という自己肯定感が育つと言われています。
最後は少し話が逸れてしまったかもしれませんが、その場その場の対処よりももっと出来ることはあるかと思います。
迷惑動画の防止策としてあげましたが、もし参考になれば幸いと思います。
回転寿司【迷惑動画】親が子に出来る防止策・炎上理由まとめ
いかがでしたでしょうか?
長々と書いてきましたが、今回のような迷惑動画は念を押して犯罪行為だということを改めて書いておきたいと思います。
その上で、これを読んでいる親の立場の人たちへもうひとつ情報を提供しておきたいと思います。
現在は2023年ですが、実は、昭和あたりからこの令和の時代にかけて、その「犯罪」ということは最も少ない時代と言われています。
え?意外。と思われた方もいるかもしれませんが、実際は犯罪行為を目にすることが多くなっただけで、極端な話、江戸時代なんかは平気で道端で人を斬ったりしているので、世に出ない犯罪がたくさんあったと言われています。
だからといって迷惑動画のような犯罪行為を黙認していいというわけではありませんが、親の立場としても、どう対処していくのか、対応策はどうすれば良いのか、少しでも考えるきっかけになればと思ったことと、筆者もいち親の立場として何か出来ることはないかと考えてこのような文章を書かせてもらいました。
まとめになりますが、承認欲求は誰にでもある欲求です。
しかし、子どもの欲求はコントロールが難しいことは自分が子どものときを思い浮かべればわかるでしょう。
その大事な時期にどう対応していくかということを考えてみること、そして子どもは地域や社会で育てていくという認識を持つことも1つ大切だと思いました。
繰り返し、長い文章になってしまいましたが、何か心に響くものがあれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。